摂南大学 理工学部 電気電子工学科

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2004年度 修士学位論文要旨

「スパッタエッチングレートデータベースサーバの構築」

摂南大学大学院工学研究科 電気電子工学専攻

表面物性工学研究室 平尾 彰浩

 半導体デバイス等の微細構造物の内部構造を調べる方法として,イオンビームによるスパッタエッチングと 表面分析技術を組み合わせたスパッタ深さ方向分析が行われている。ここで得られるデータは,横軸:スパッタ時間に対する 縦軸:成分元素濃度の形式となっている。このスパッタ時間をスパッタ深さに換算するためには,スパッタエッチングレートの 情報が必要となる。スパッタエッチングレートはイオンビームのエネルギー,入射角,電流密度の大きく依存する。このうち, エネルギーと入射角については測定が容易であるが,電流密度を正確に測定することは一般に難しい。そこで電流密度を 測定する代わりに,同一のイオンビーム条件(エネルギー,入射角,電流密度)で測定したい試料と標準試料のエッチングレートを それぞれ測定する。これらの比をとると,これは電流密度に依存しない。測定者は使用した装置のイオンビームの条件で 標準試料のエッチングレートを測定し,これに先のエッチングレート比をかけることによって実際に用いたビーム電流密度における 測定試料のエッチングレートを得ることができる。このため表面分析研究会SERD(Sputter Etching Rate Database)プロジェクトでは 絶縁体を含む化合物,合金などの実用材料のエッチングレートをSiO2などの基準物質のエッチングレートに対する比として 収集・蓄積することを目的として活動を行っている。本研究では,SERDプロジェクトの活動の一環としてこのレート比のデータを インターネット経由で収集および共有(検索・閲覧)するためのサーバを構築することを目的とした。
 まず最初に,検証用のパソコンを組み立ててこれにOS (FreeBSD) やデータベース (PostgreSQL) ,Webサーバ (Apache) などの基本ソフトをインストールし, ローカル環境で種々の不具合や注意事項の洗い出しを行った。また基本的なデータの入出力処理スクリプトをPHPで作成して動作確認を 行い,その後すべてのシステムを実働機へと移行しインターネットへ公開した。またデータベースを補佐するいくつかのJavaアプレットを 作成した。これによりデータ検索結果を動的にグラフ表示し,全体の傾向を見ることができ,かつカーソル移動により各データ点の 数値を正確に読み取ることができるようにした。
 サーバの総合的動作確認のためSERDプロジェクトで行われたラウンドロビン実験(2000年,参加7機関),(2001年,参加11機関), (2002年,参加7機関)で収集された GaAs/SiO2,Si/SiO2などのデータ全139件を インターネット経由で入力した。入力したデータを使って,いくつかの条件で検索・グラフ表示させた結果,レート比をとることによって エネルギー依存性や入射角依存性がかなり緩和されることと,データ数の増加に伴い最確レート比の精度が向上することなどが はっきりと確認された。
 現在,収集されたデータの利用について,利用者側に制限は設けていないが,データ入力についてはユーザ認証を 行うようにしておりSERDプロジェクトメンバーのみにIDを通知している。世界中から広くデータを収集するために,今後どのような 形態でデータ入力の管理をしてゆくかの検討が必要である。

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関連論文・発表(下線は発表者)
  • 「スパッタエッチングレートデータベースサーバの構築」
      平尾彰浩,井上雅彦,表面分析研究会 SERD プロジェクト
      2003年度 実用表面分析講演会(2003,11,3,つくば市,物質・材料研究機構)ポスター講演
  • 「新 SERDサーバの紹介」
      井上雅彦,平尾彰浩,表面分析研究会 SERD プロジェクト
      第25回表面分析研究会 定例会(2005,3,4,東京,虎ノ門パストラル)口頭発表

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